有限会社宮本タイル


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雨に咲く花

更新日:2013年8月12日

画像:雨に咲く花

「良いお湿りですね・・・。」
昭和の昔は、雨が降ると道行く人々はお互いに、こんな言葉を良く掛け合っていたものです。

本来、農耕民族である日本という国には、雨は恵みの雨、感謝の雨と言った自然への畏敬の念が備わっていたのでは無いでしょうか・・・。
「慈雨」という言葉も自然に感謝する心が伝わって来る素敵な言葉ですね・・・。
青森が生んだ世界的な女性ミュージシャン、矢野顕子さんの娘様のお名前は、美雨さんでしたね・・・。

昨今の、局地的に襲うゲリラ豪雨に遭遇した人や、東北の被災地の皆様には、雨は良いお湿りとばかりも言っていられない厳しい現実もあります。
そして、なにより私達タイル業界に携わる人間にとっても、長引く雨は現場の進行にも差し支えますからね・・・。

それでも、雨降りの日に「嫌な雨ですね・・・。」よりも、やはり「良いお湿りですね・・・。」と言える気持ちのあり方を普段から心がけたいものです・・・。

雨の日の楽しみと言えば、もう一つ・・・雨に咲く花、紫陽花の存在を忘れてはいけませんね。

白・青・紫・赤・・・と、紫陽花は雨の日にこそ、その美しい色合いがより一層、際立ちます。そして紫陽花は、潔く散る事を許されない花・・・。
雨の日に、その美しい存在感を放ち、そして夏の日の午後、人知れず枯れて行く花・・・。

花の美は、開花した時の鮮やかさと、その散り際の潔さで讃えられる事が多いでしょう・・・。
しかし、紫陽花は散る事を許されずただ、枯れて行く花・・・それもひっそりと、人知れず。
私には、紫陽花の、この枯れ行く様が、老いを決して恥じない「生」を「静」の境地で達観した、穏やかな笑顔を浮かべる翁の姿にも映るのです。

とりわけ、人と人とのご縁や繋がり、あるいは仕事においても、ある事情で潔く散って行かなければならない場面も、あるかと思います。

潔さには、それなりの余韻と、美しさもある事でしょう・・・。しかし、あえて潔さよりも、散らずに、人知れず枯れて行く道を極めてみたい・・・。

 タイル業界の高齢化が叫ばれて久しい今日この頃です。その問題はタイルに関わる、製・販・工のそれぞれの皆様がお持ちの悩みであります。

 私達は、後進の育成や、タイル業界をより一層、魅力ある世界にする使命を果たして行かなければなりません。

 今は、潔さよりも、どうか、何かしらの境地を追い求めて、咲き続け、人知れず枯れる道を極める時ではないでしょうか・・・。

【 多香彩 釉(たかさい ゆう)】
東北在住の、タイルをこよなく愛し、四季の移ろいの中で、風景に溶け込むタイルの美しさに魅了された謎のタイル人。