有限会社宮本タイル


タイル・レンガ・ブロック・左官・石工事・建築小工事

釉の街、青森

更新日:2012年12月13日

釉の街・・・青森の街を、いつしかそんな風に呼んでいる。
タイルという建築仕上げ材が、身近な風景に溶け込みながら際立つからだ・・・。

観光通り沿いに伝統と風格を称え、その存在感を放つM銀行本店の深い赤銅色のタイルは戦国武将の甲冑を連想させる。
特に圧巻なのは冬である。視界さえ遮る吹雪の中でも“凛”として、静かに、そして力強く、春を待つ人々を見守る。

青森文化会館の、品格がありながらも、決して奢らない美しさを放つ紅色のタイルはどうだ。その美しさのピークは秋にある。
国道四号線沿いのエントランスの紅葉と、程よい色幅の紅色が一体となり、冬支度を急ぐ晩秋の大気が張り詰めた朝には、寒さも忘れ、立ち止まってしまう。

そして、路地をまたいだ、そのすぐ隣に控える、青森中央郵便局の飴色のタイルは、ただもう、息を呑むばかりである。
一見すると深い飴色のモザイクタイルと思わせながら、近くに寄ると貫入が、釉と素地のハーモニーを奏で、もはや建築仕上げ材というより骨董品の趣である。

工芸品、美術品として陶磁器に魅了される方は多いでしょう。
美術館で鑑賞して、または古美術店で実際に手にとって、古今東西の名品の美しさに我を忘れる事でしょう。
しかし、同じ「焼き物」としてタイルは、風景に溶け込み、街全体を美術館に変えてしまう壮大さがあります。

「釉」は、時として優しさの「優」。
風景に溶け込んだタイルは人々に、安堵の想いを与える。

「釉」は、時として幽玄の「幽」。
四季の移ろいの中で様々な表情で魅せるタイルは人々に、静寂と威厳を与える。

「釉」は、時として人と人を繋ぐ「結う」。
半永久的に色褪せないタイルは、その儚くも深く美しい時間を共有した人々を繋ぐ象徴となります。

釉の街、青森。私は本州最北端の、このタイルパラダイスをこよなく愛し、繋がり続けていたい。

【 多香彩 釉(たかさい ゆう)】
東北在住の、タイルをこよなく愛し、四季の移ろいの中で、風景に溶け込むタイルの美しさに魅了された謎のタイル人。